2012/02/24

gumroad考察

gumroadというサービスが注目を集めてますね。自分はちょっとしたトラウマがあって、Paypalのアカウントをまだ作っていないので試していないのですが、これまでとは比較にならないほど簡単に自分のデジタルコンテンツを世界に向けて販売できることが注目を集めている理由みたいです。

と同時に、いやこれは違法コンテンツの温床になるのでは無いか?とか、リンクが漏洩したら誰でも無制限にダウンロードできるのは問題だとか、負の面も報じられてます。

中には、gumroadだけに限った話では無いものもあるし、お手軽さ故にそういうことがより容易に出来てしまうということもあるのでしょうが、個人的には(まだ売れるものなんて何も無いけど)自分のコンテンツを売る販路のひとつとして、こういったサービスがうまく立ち上がってくれればいいなと思っているので、大きな問題が起きないよう、陰ながら応援しています。

で、今回はそういうことを話題にしたいんじゃなくて、私が個人的にgumroadがすごいと思った点を述べたいと思います。

と、その前にオンラインストアと言ってまず最初に思い浮かべるのは何でしょうか?アマゾンですかね、やっぱり。私がgumroadがすごいと思うのは、これのおおよそ対局を行っているのでは無いかという点です。

gumroadのサイトに行けばわかりますが、まず、ここで何を売っているのか?という情報がほとんどありません。それもそのはずで、gumroadは販売するコンテンツを簡単に紹介するページ及びそのリンクと決裁システムの提供しかしてません。

そのリンクがわからなければ、販売しているコンテンツにたどり着くことさえままならないのです。

アマゾンだったら、ユーザーのレビューとかサジェスト機能とか、あの手この手で訪問者にコンテンツを買わせる仕掛けが用意されているのですが、gumroadではそれがいっさい無くて、コンテンツが売れるかどうかは販売者の努力に強く依存しているのです。

このやり方では、ユーザーにリーチできるプレゼンスの無いひとのコンテンツはほとんど売れないでしょう。

ただ、そこをビジネスチャンスとばかりにgumroadで販売しているコンテンツを紹介するなどの周辺サービスがこの短期間で沢山立ち上がってます。gumad.meとか。

ちなみに、gumroadは販売時に売値の5%+30cの手数料を取ることで収益を上げるのですが、決済システムにStripeを使っているらしく、ここの手数料が2.9%+30cです。なので、そのまま単純に引かれるとgumroadの取り分は売値の2.1%と、かなり少ないことがわかります。

また、サービスの性格上、高額なコンテンツがバンバン売れるということも考えにくく、平均の販売単価もかなり低いのでは無いかと思われます。となれば、本来であれば、薄利多売で沢山コンテンツが売れてくれないと、儲けが出ないビジネスモデルであると考えられます。

にも関わらず、売る為の努力をほとんどしないというのは、一体どういうことなのか?で、ここがgumroadの巧妙なところではないかと「勝手に」思っているのですが、実のところそういった販売の為の努力はサーバーの運営コストに跳ね返ってくるわけです。

(えー、いまさらですが、この話はgumroadがAWSとかGAEとかのサービスを使って運営されているという仮定での考察です・・)

沢山のトラフィックを使って、画像やテキストなどで美辞麗句を並べたところで、ユーザーは商品を買ってくれるとは限りません。となると、その時の通信料は全くの無駄になるわけです。

アマゾンはユーザーにより多くの時間をサイトにとどまってもらって購入の機会を増やすのが戦略ですが、gumroadは恐らく、ユーザーがサイトに訪れるのは購入するその瞬間だけがベストで、買うか買わないかもわからないのに長くとどまってトラフィックを消費されるのはたまったものでは無いのでしょう。

だからこの先も販売しているコンテンツの検索とか、そういう類の機能は実装されないんじゃないかと想像してます。

つまり、商社としての機能を極限までシンプルに実現したのがgumroadではないか?ということです。

恐らく今後、gumroadに類似のサービスが沢山出てくるとは思いますが、gumroadという先駆者に対抗する手前、販売手数料はかなり低額な設定にせざるを得ないでしょう。

その際に、このことを理解しないでアマゾンのような機能てんこ盛りのサイトで対向しようとすると、運営コストに苦しんで足元をすくわれることになるやも知れません。まぁ、広告収入とか別の収益源を確保できれば、その限りでは無いのかも知れませんけどね。

もし、gumroadに死角があるとすれば、Stripeを利用すれば類似のサービスを立ち上げることがわりと簡単にできそうで、顧客へのリーチ力があるひとなら、個人で世界を相手に販売サイトを立ち上げる時代が実はすぐそこにやって来ているのかも知れない、ということでしょうか?

0 件のコメント:

コメントを投稿